前回紹介した、軒ゼロ住宅は雨漏り発生リスクは通常の5倍-という記事。
住宅瑕疵保険会社大手の取り扱った雨漏れ事故案件の統計によると
雨漏れ発生箇所の7割超が軒の出のない箇所であった。
軒ゼロデザインにするための建材などもいくつかのメーカーから販売されてはいるが
建材には必ず経年劣化があるので、その性能に頼ったつくりでは長期間性能を維持できない。
家は非常に長い年月にわたって住み続けるものなので
その間に地震や暴風によって動き、当初の性能が損なわれることも考えておかねばなりません。
しっかり軒の出た屋根にすることで
そういったリスクを確実に軽減できるということです。
また、南面に大開口サッシがあるのに軒の出も庇もなければ
日射が燦々と室内に射し込み、とても暑くて快適とはいえない住まいになってしまう。
前回も書きましたが、真夏に掃き出し窓1ヶ所から入り込む放射熱はコタツ1台分ほどにもなるので
日射遮蔽ができていなければ掃き出し窓の数だけコタツを焚いているようなものなのです。
現在工事中の高月の家、南の軒はすうっと長く伸びている。
室内から見上げると、夏の角度のある日射しをしっかり遮るであろうことが見て取れる。
家に限らず、デザインと機能性とは表裏一体のものだと思います。
意味のある形だからこそ長きにわたって受け継がれ、
そこに普遍的な美しさを感じるのではないのでしょうか。
家は一度建てれば、何十年の長きにわたって存在し続けるもの。
流行り廃りに流されない、時間の経過に耐える普遍的な形を求めていきたいと思っています。