日暮れ時、「高月町 小さな離れ家」の現場に立ち寄ると
空も薄暗くなりかけている中、
三浦大工さんが玄関廻りの外壁板貼りの作業中。
まだ午後5時前なのに、この空の色。
いやぁ、ほんとに日が短くなってきました。

貼っているのは杉の赤身板。
一概に杉板といっても、原木である杉丸太の
どの部分を使うかによって性質は変わってきます。
杉や桧、松といった樹種は幹の断面を見ると
中心に近い部分(心材)は赤味がかった色をしていて
外周に近い部分(辺材)は白味がかっています。
そして心材部分には木の耐久性を高める成分が多く含まれています。
心材は辺材に比べて節が現れやすい部分ではありますが
常に風雨に晒されるような部分には
耐不朽性の高い赤身材を吟味して使わねばなりません。
節が少ないからといって辺材など使えばすぐに劣化してしまいます・・・
塗装のほうも事前に当社工場内にて
ドイツ製自然塗料をきっちり2回塗装済みです。

これは出隅コーナー部分のパーツ。
板貼り前に取付しておいて
この凹溝加工された部分に板を差し込みながら
下から上へと貼り上げていきます。
これも板が少々収縮したり反ったりしても
隙間ができないようにするための工夫なのです。

板貼りの外壁には既製品では表せない
柔らかで、いい質感と存在感があり
流行にとらわれない普遍的な良さがあります。
ただし、建物本体と同じく長く使い続けるためには
しっかりとした材料の選択と
塗装などの適切な処理、
そして昔から培われてきた施工の工夫、
そういったものに裏付けられていることが
重要なのです。
豊住研(太田)