秋の日の、日暮れ時。
誰しも、家族の待つ暖かい我が家が
恋しくなる時ではないでしょうか。
すっかり短くなった陽が傾き、
辺りはだんだんと薄暗く変わってゆく時間帯、
どの家にも灯りがともりはじめる・・・
二十世紀を代表する日本の建築家、吉村順三氏の語録の中に
私の大好きな一節があります。
『日暮れ時、一軒の家の前を通ったとき
家の中に明るい灯りがついて
一家の楽しそうな生活が感じられるとしたら
それが建築家にとってもっともうれしい時なのではあるまいか』

簡素な言葉で語られたこの一節に
住まいというものの有り様、本質的なもの、
そういった事が内包されているように思います。
家に帰り着いた時、ホッとするような、
自然と家族が集まる場所があって
いつも団欒がはずむような
そんな家づくりができれば、と
改めて思う、秋の夕暮れなのです。
(太田)